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裁判による離婚⑨ 精神病による離婚

おはようございます!

楓女性調査事務所、のんちゃんです!

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両者に悪意がないだけに裁判所も消極的な判決

 

配偶者が悪意をもって家庭を捨ててしまった場合と違い、精神病の場合は、どうしても沈痛な雰囲気がただよいます。どちらにも全く悪意がないのにもかかわらず、離婚という破局を迎えざるをえないからですが、一方が過酷な生活を強いられてしまう状況では、これも仕方のないことかもしれません。

 

民法では、精神病になって回復のみこみがないときは、離婚が認められると決められていますが、裁判所は、この判定には消極的です。夫婦は本来協力し合って人生を構築していくものなのだから、たとえ精神病になろうとも協力し合わなければならないという考えがあるからです。

しかし、それでも、あまりにも負担が大きい場合には離婚が認められます。

 

精神病離婚

 

さまざまな負担が重なり追い詰められた

 

徹さんと美智子さんは結婚以来20年間、平和な生活を送っていました。一人娘もすくすく育っているので、一家は明るく平穏な家庭でした。

ところが妻の美智子さんが腸チフスにかかってしまったのです。そして彼女は同じ年に、精神異常にきたしてしまいました。

 

幻聴、妄想がひっきりなしに彼女を襲い、車に飛び込むなどの奇行が目立つようになりました。地方公務員であった徹さんは美智子さんを精神病院に入院させましたが「早急には回復する見込みのない重い精神分裂症」であると診断をくだされました。

 

徹さんには自分たちが住んでいる自宅以外、これといった財産がありません。しかも地方公務員の身では長期的に妻を入院させておく余裕もない。しかたなく彼は妻をを引き取って自宅で療養させていました。

 

自宅に戻っても、美智子さんの病状は回復しないばかりか、悪化するばかり。発作の回数も増え、徹さんは経済的にも精神的にもまた肉体的にも負担を強いられることになったのです。

 

美智子さんが精神に異常をきたしてから5年、徹さんはついに離婚訴訟を起こしました。

「配偶者が極度の精神病にかかり、回復の見込みがない時」という民法の規定によって、離婚を請求したのです。

この訴えに対し、美智子さんの側は、民法の770条2項の「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求をききゃくすることができる」という規定をもとに「夫の離婚請求は棄却されるべきだ」と反論しました。

 

裁判所の見解は「夫としてこれ以上妻戸の婚姻の継続を強いることは些か苛酷」であるとして、離婚を認める判決を下しました。

この判決では、夫が一地方公務員であり、既に妻の治療のために精神的にも経済的にも困窮した状態に追い詰められていること。また、これ以上婚姻生活を継続しても、妻の治療に有益とはならない点が重視されたわけです。

 

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